2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

子牛の下痢①

子牛はよく下痢をする。 下痢と肺炎は子牛のダントツ2大病と言ってもいいくらいだ。 子牛の正常便の水分量は70-80%だが、下痢の時は90-95%になる。 さらに便の量は6-30倍になると言われている。 つまり大量の水分が体から出てしまっているのだ。 それにより…

子牛のへそ③

臍ヘルニアは先天性の病気で、牛では0.65-1%程度で起こるとされている。 通常ヘルニア輪(ヘルニアの穴)の直径が5㎝未満で6か月齢以下では、包帯を圧迫するなどの方法で治ることがある。 ただ、臍帯遺残構造(臍動脈、臍静脈、尿膜管)の感染が合併してい…

分娩②

ちょっと大変なお産があった。 初産でどうも分娩がすすんでいかない、産道から何かがでているとの農家さんの話だった。 いってみて産道からでているもの、これが子牛の尻尾だった。 えーーーーって思う。 なぜかというと、ちょっと大変なお産のひとつだから…

乳房炎①

乳房炎は牛の主な病気の一つだ。 ほかの動物では聞きなれないこの病気、もちろん人間でも。 何で牛ではしょっちゅう起こるのか? それは牛の乳房にものすごく負担がかかるようにした人間の勝手の結果だ。 もともと牛のミルクも子牛にあげる分だけでればよか…

肺炎②

細菌性肺炎の主な菌は Pasteurella multocida(-) Pasteurella haemolytica(-) Haemophilus somnus(-) Trueperella pyogenes(+) Fusobacterium necrophorum(-) Mycobacterium bovis(+) である。 (+)(-)というのはグラム陰性・陽性か…

肺炎①

肺炎は子牛でよくおこる。 0.5~3か月くらいで起こることが多いイメージだが、その先も、もちろん親牛でも起こる。呼吸が早くなり、熱を伴うことが多い。子牛の平熱は38.5~39.5℃程度だが、41℃を超えるものもいるし、42℃超えたものもこれまで何頭もいた。 群…

乳熱①

乳熱とは分娩前後に起こる低Ca血症のことである。 これはよく起こる。経産牛の分娩後なら取り合えずCa打っとこうかなと思うレベル。 初産で起こるのは0.2%程でほぼないし私は初産牛にCa打ったことがない。経産で多く、特に6産以降なら約10%とされているが…

分娩①

ウシの分娩はとても大事。 なぜなら牛が生を受け大きく育っていくうえで最大の関門ともいえるからである。 農家さんにとっても分娩はとても大事。特に和牛農家さん。 ウシの妊娠期間は約280日。妊娠するまでの期間も入れると、子牛が生まれるまでに 早くても…

子牛のへそ②

前に子牛のへその話をした続編。 へそが腫れたときにまず考えるのは、おなかの筋肉に穴が開いた状態のヘルニアがあるかどうか。 もしヘルニアがあった場合、腹腔内にあるはずの腸がへそのふくらみのなかに落ちた状態になっているかもしれない。へその腫れの…

牛の去勢

今日は牛の去勢をした。 獣医は5-6か月くらいの和牛の去勢をすることが多く、ホルスタイン♂の去勢は農家さんや農協さんが行うことが多い。 去勢は、まずキシラジンを静脈注射して鎮静・鎮痛をかける。牛が起立維持できなくなり座ったら両足を縛って横倒しの…

子牛のへそ①

子牛のへそが腫れていることがある。 今日診た生まれて4か月くらいたった牛は、へそが20㎝×15㎝くらい大きく腫れていた。 もともと子牛はお母さんのおなかにいたときにへその緒とつながって、栄養をもらいながら育っていく。臍動脈、臍静脈、尿膜管の3つがつ…

初めまして。

北海道で牛の獣医をしています。 日々の出来事や思ったこと、日常を書いていきたいと思います。