分娩①

ウシの分娩はとても大事。

なぜなら牛が生を受け大きく育っていくうえで最大の関門ともいえるからである。

 

農家さんにとっても分娩はとても大事。特に和牛農家さん。

ウシの妊娠期間は約280日。妊娠するまでの期間も入れると、子牛が生まれるまでに

早くても1年かかる。乳牛だと分娩した親牛からミルクが出てそれが収入となるので、子牛がうまくいかなくても経営としてそこまで大きくない。だが、1頭1頭の個体がすべての和牛は、うまくいかなかった場合1年間何をしていたのかってことになってしまうのだ。

 

予定日近くになったら気を付けて観察する。

分娩は大きく①開口期、②産出期、③後産期に分かれる。

 

①開口期は陣痛が開始して子宮頚管が子宮と膣を隔てなくなるまで拡張する。経産牛(過去に分娩したことがある牛)は2-6時間、未経産(過去に分娩したことがない牛)は12時間程度である。

 

②産出期は胎児を分娩するまで。平均70分位(30分-4時間)。2-3時間を超えると人の介助が必要となりうる。胎児は前足・頭からくる場合と後ろ足からくる場合がある。これはどっちからでもよいが、両手が曲がることなく伸びている、背骨が上を向く体位が正常である。体位が正常でなければ人間の手を突っ込んで正常な体位に整復しなければならない。

体位が正常で子宮頚管がしっかり開いていれば、あとは引っ張るのみである。

 

③後産期は胎児娩出後後産を排出するまでである。

後産とは胎盤のことで、正常であれば分娩後3-6時間で排出される。12時間以上たっても排出されない場合は後産停滞で産褥熱という産道の感染による発熱につながってしまう。