2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

繁殖②

授精とは子宮内で精子と卵子が出会うことである。 精子が子宮の中に侵入することはかんたんである。 牛であれば人工授精によりその状態がつくられる。 自然界であれば、交尾により膣内に射精され、精子が頑張って膣内へと移動する。 授精が大変なのは、精子…

繁殖①

牛において繁殖管理はとても大事。 そもそも妊娠・出産しないとミルクを出さない。 つまり出産しないと乳牛としての価値はない。 子牛が生まれれば、メスであれば育ててミルクを出してもらえる。 ミルクの出荷を生業とする酪農家にとって、繁殖は経営に大き…

蹄病④

蹄病で多いもの。 (1)蹄底潰瘍 (2)白帯病 (3)疣状皮膚炎 この3つが多い印象。 (1)蹄底潰瘍 蹄皮のびらん性欠損と言われるようだ。 自分からすると、蹄真皮と蹄皮が本来くっついいるはずだが、それが離れてしまっている状態。 原因は蹄への過剰な負…

蹄病③

蹄病の治療は、まず農家さんに牛がびっこを引いているという往診依頼から始まる。 蹄病②で言ったように、跛行の8割は蹄によるが、2割はその他による。 例えば関節炎であったり、大腿部などの筋肉が腫れることによる筋炎、もしくは亜脱臼なども考えられるた…

蹄病②

跛行(びっこをひくこと)について教科書によると ・跛行牛の95%は乳用牛である(和牛は5%) ・症例の80%は蹄病である(関節炎など蹄以外の跛行は20%) ・蹄病の80%は後肢に起こる(前肢は20%) ・蹄病の50%は蹄角質の疾病で、50%は趾皮膚炎がほとんどを占め…

蹄病①

牛はよくびっこをひくようになる。 なぜか? 600kg以上もある体重を支える足に大きな負担がかかっているからだ。 前足よりも圧倒的に後ろ足のほうが悪くなりやすい。 治療するときは枠場に入れて牛を固定し、蹄が見えるように足を縛る。 あとは悪いところ見…

抗生剤③

③作用機序 どのようなルートで抗生剤が菌に作用するかの話。 例えば、抗生剤はなぜ人間の細胞には影響せずに菌だけに作用するのか? 人間の細胞も壊されたりしないの? ・細胞壁合成阻害薬 細胞(植物にも)には細胞壁という細胞の外側を覆う壁があります。 …

抗生剤②

②作用 作用には「殺菌的」と「静菌的」に分けられる。 殺菌的だと菌を完全に殺す。 一方、静菌的だと菌の増殖と成長を妨げるに留めるため、最終的には宿主(牛)の免疫機能によって菌は除去される。 殺菌的なものには アミノグリコシド ペニシリン セファロ…

抗生剤①

抗生物質の歴史は1928年にアレクサンダー・フレミングが世界初の抗生物質であるペニシリンを発見したことに始まる。これにより人類の健康状態は飛躍的に向上した。 抗生剤の分類として ①スペクトル ②作用 ③機序 ④動態 ⑤重要性 などがある。 ①スペクトルとは…

乳房炎③

前回は高張食塩水により毒素を外に出す話だったが、次は抗生剤と消炎剤。 大腸菌はグラム陰性菌なのでそれに効く抗生剤と、ショック状態・乳房炎の炎症を抑えるためにステロイドやNSAIDsを投与します。 抗生剤は、例えばカナマイシンというグラム陰性に効く…

乳房炎②

乳房炎。 原因は色々あるけど、やっかいなのは大腸菌によるもの。 なぜかというと大腸菌のショックにより致死率・予後不良率が他と比べてとても高いからです。 よくあるのは、乳房炎になったので乳房炎軟膏(抗生剤)を注入したら、しばらくなって立てなくな…

スターター

子牛が食べるスターターという餌について。 本来野生の牛ならミルクと草しか口にいれることはない。 スターターなんて自然にないもの食べないのに大丈夫なの? スターターとは離乳食のようなもの。 栄養価が高く、消化されやすく、1胃も発達する。 ミルクは…