抗生剤③

③作用機序

 

どのようなルートで抗生剤が菌に作用するかの話。

 

例えば、抗生剤はなぜ人間の細胞には影響せずに菌だけに作用するのか?

人間の細胞も壊されたりしないの?

 

細胞壁合成阻害薬

細胞(植物にも)には細胞壁という細胞の外側を覆う壁があります。

これは人間(動物)にはありません。

これを壊すことにより、人間の細胞には影響せずに菌の細胞のみに特異的に作用できます。

ペニシリン

セファロスポリン

バンコマイシン など

 

・タンパク質合成阻害薬

タンパク質は生きていくために必要な物質です。

そのタンパク質の合成をするリボソームの30sと50sの合成を阻害することで菌に作用します。人間とは違うリボソームであるため、人には影響ありません。

 

核酸合成阻害

DNAやRNAの合成を阻害することで菌に作用します。

最上級といっていいくらいに優秀な薬なため、第一選択薬としては使っていけないことになっています。これの耐性菌ができて効かなくなると、他に効く薬がなくなってしまうおそれがあるため。

 

フルオロキノロン

メトロニダゾール など

 

葉酸合成阻害薬

DNAの合成に必要な葉酸の合成酵素を阻害することにより菌に作用する。

 

サルファ剤

トリメトプリム など。

 

この2つは異なる葉酸合成酵素を阻害するため、両方を一緒に使うと相乗効果が得られる。これをそれぞれの頭文字をとって「ST合剤」と言われる。