乳房炎④
乳房炎を起こす主な微生物について。
まずはやっかいなもの3つ
【CO(大腸菌群)】
これは前に書いたように、臨床的に牛がやられる率NO1と言えるだろう。
なぜならCOショックになってしまい、瀕死の状態になったり、立てなくなったりするからだ。
牛床の敷き藁などから感染する。
そのため、環境性乳房炎というくくりになる。
菌が増殖しやすい気温が上昇する夏~秋に多い。
【SA(黄色ブドウ球菌)】
人間の食中毒(おにぎりなど)の原因菌として有名。
牛で難治性の乳房炎を引き起こす。
ミルカー(搾乳する機械)などを通じて牛から牛へ感染する。
そのため、伝染性乳房炎というくくりになる。
【マイコプラズマ】
かなりやっかい。
というか、見つかった時点で治療することなく淘汰するレベル。他の牛に移さないために。
1個体としては、化膿性乳房炎を1分房から他分房へ短期間で波及させる。
特徴としては、突然の著しい乳房の腫脹・硬結、乳量激減、著しいブツ(小さい白い塊)など。また、普通の乳汁検査では判別できないため、特別な検査が必要。なので、見つかり方としては、菌が検出されないが明らかに激しい乳房炎でマイコプラズマ検査に出したら見つかったというパターンが多い。
治療はオキシテトラサイクリンやニューキノロンなどの抗生剤を使うことだが、現場では淘汰の方向に向かうことがかなり多い。