繁殖⑤
うまく発情が起きない病気について。
まずは卵巣の疾患。
【卵巣静止】
卵巣の大きさ自体は正常だが、発情がみられず、卵胞は発育しない、あるいはある程度までは発育するが成熟することなく閉鎖退行を繰り返している状態のこと。
排卵が起きないため、黄体はみられない。
経産牛においては、分娩後40日を過ぎても黄体形成が見られず、排卵が起きなければこの卵巣静止と診断される。
【卵巣萎縮】
機能が正常だった卵胞が萎縮、硬結した状態のこと。
原因は下垂体からの性腺刺激ホルモンの不足による。
【卵巣嚢腫】
卵胞が排卵することなく、異常に大きくなること。
原因は排卵を起こすのに必要な黄体形成ホルモン(LH)の一過性大量放出(サージ)が起こらないことによる。
排卵直前の成熟卵胞は14-18mm前後であり、卵胞が排卵することなく25mmを超えると嚢腫とみてよい。
これら卵巣疾患の治療には、GnRH製剤を投与する。